秋本さん「え?自己破産?」
さやか「はい・・・だから私クレジットカードも持って無いんですよ」
イケちゃん「何で・・・自己破産したの?」
イケメン「・・・」

深刻な空気が流れる中、さやかは口を開きました。
さやか「・・・ギャンブルにハマっちゃって」

その瞬間の私は本当に頭の回転が早かったと思う。
27年間生きてきて、こんなに頭の回転が早かったことなんてなかったと思うくらい早かった。
ベイブレードくらいグルグルに回ったね。
この時の私を本当に褒めたいと思ってます。

私はさやかの肩を掴んで揺さぶりながら声を上げました。
「お前!パチンコやめてなかったんか??!?!」と。
心は女優です。

さやかは私の顔を見て小さい声で「ごめん」と呟きました。

さやかも完全に女優になってたね。

ここからは完全に私達のターンです。
2人とも女優ですからね。最後までやりきってこそですからね。

私「何で、もうやめたって言ってたのに・・・」
さやか「最後に一回、本当に最後にするつもりやったんやけど、負けが続くと冷静じゃいられなくなって。貯金もボーナスも全部使って・・・それでも負けるともう・・・」
私「大学生の時あれだけ辞めるって、私達泣きながら話し合ったやん?!」
さやか「ごめん。私の為にお金まで貸してくれたかもめを裏切って・・・本当にごめん」
私「・・・また、帰ったら2人で話そう。今は他の人もいるからこの話はやめよう」
さやか「うん。ごめんね、皆。だからお鍋を買うことはできそうに無いです。」

このやりとりを見て、秋本さんは「せ、せやな」と言いました。
ここにきて初めて秋本さんの素を見たような気がしますね。

さやかのインパクトが凄すぎたのか、秋本さんはそこから私にも勧誘をしてこなくなりました。

その後の鍋は消化試合のように当たり障りのない会話をして、ものすごいスピードでお開きになりました。

帰る準備をしてるときにイケちゃんと一瞬だけ2人になったんですが、「かもめちゃん、凄い友達を連れてきてくれたんやな・・・」と言われました。

「それはあんたもや!!!!!!」って言いたかったけど、さやかの方が確かにヤバイ感じの人間だったので「せ、せやな・・・」と言っておきました。

そしてイケちゃんの家を出た私達は肩を組みお互いを褒め合いました。

さやか「かもめのとっさの判断、凄い良かったよ!」
私「いやいや!さやかのあの自己破産した時の顔!まるで本当のようやったで!」
さやか「ありがとう!全部嘘や!!」
私「ちゃんとパチンコやめれたんだね・・・!」
さやか「したことすらないわい!!!」


そうして私達は家に帰りました。


その後、イケちゃんとはもう連絡を取っていません。
友達を1人失ったことは悲しいですが、良い経験になりましたね。
彼がビジネスを辞めて、また普通の友達として会える日が来ることを私は祈っています。


おわり。


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